動画制作の依頼書(オリエンシート)の書き方|1枚にまとめる項目とテンプレート

\ 企画・シナリオ構成から一貫してお任せ /
アニメーション制作のご相談はこちら動画を作りたくて制作会社に問い合わせてみると、折り返しの連絡でいくつも質問が返ってきます。「どんな目的ですか」「誰に見せますか」「どこで流しますか」「ご予算は」。その場でうまく答えられず、言葉に詰まった経験はないでしょうか。
じつは、この最初のやりとりがそのまま見積もりの精度を決めています。同じ「30秒の動画を1本」という依頼でも、伝える情報が整っているかどうかで、返ってくる見積もりの正確さも、その後のやり直しの回数も大きく変わります。
情報が足りないと、制作会社は「数十万円から数百万円」といった幅の広い概算しか出せません。逆に、必要なことが1枚にまとまっていれば、初回から現実的な金額と進め方が返ってきます。
この記事では、制作する側から見て「これが書いてあると助かる」という項目を、依頼書(オリエンシート)の形に整理します。読み終わる頃には、A4用紙1枚で制作会社に意図が伝わる状態を、自分で用意できるようになっているはずです。
目次
オリエンシートとは何か|「1枚の依頼書」が往復を減らす
オリエンシートとは、「何を作ってほしいか」を制作会社に1枚で伝えるための依頼書です。ヒアリングシート、仕様書、発注仕様書と呼ばれることもありますが、役割は同じです。
なぜこれが必要なのか。理由は単純で、動画制作は「言った・言わない」で手戻りが起きやすい仕事だからです。口頭やメールのやりとりだけで進めると、認識のズレが後半で表面化し、作り直しになります。
最初に1枚にまとめておくと、次の3つが変わります。
- 見積もりが正確になる — 幅のある概算ではなく、案件に合った金額が出ます
- 打ち合わせが短くなる — 探り合いの時間が減り、中身の相談に入れます
- 関係者の認識がそろう — 社内の決裁者にも同じ1枚を見せられます
完璧に埋める必要はありません。決まっていないところは「未定」と書けば十分です。むしろ、何が決まっていて何が決まっていないかが見えること自体に価値があります。
まず埋める4項目|ここが空欄だと見積もりが出せない

オリエンシートの項目はたくさんありますが、最初に埋めてほしいのはこの4つです。制作側から見て、ここが埋まっていないと見積もりの前提が立ちません。
① 目的(何のために作るか)
「新サービスを知ってもらう」「使い方を説明して問い合わせを減らす」「採用で会社の雰囲気を伝える」。目的が変われば、同じ商品でも作る動画はまったく別物になります。ここが一番の土台です。
② ターゲット(誰に見せるか)
既存のお客様か、まだ会社を知らない新規層か、社内か、採用候補者か。見る人が変われば、話すスピードも、専門用語の量も、トーンも変わります。「20〜30代の、まだ課題に気づいていない人」のように、一段具体的に書けると理想的です。
③ 配信先(どこで流すか)
YouTube広告、自社サイト、展示会のブース、営業の商談中、SNSのリール。流す場所によって、適切な尺も画面の向き(横型・縦型)も、音ありきか音なし前提かも変わります。
④ 一番伝えたいこと(1つだけ)
動画は、詰め込むほど何も残りません。「これだけは覚えて帰ってほしい」という1つを決めてください。これが決まっていると、構成がぶれなくなります。複数ある場合は、優先順位を付けておきます。
この4つが埋まっていれば、制作会社は「その内容ならこのくらいの規模」という当たりを付けられます。逆にここが曖昧だと、どれだけ他の欄を埋めても幅のある見積もりしか出せません。
次に埋める項目|尺・本数・表現・参考動画
土台の4項目が決まったら、次は「どう作るか」に関わる項目です。ここは決め打ちしなくても構いません。希望があれば書く、なければ相談する、で問題ありません。
尺(長さ)と本数
「15秒」「30秒」「2〜3分」など、目安があれば書きます。配信先が決まっていれば、そこから適切な尺はある程度決まります。1本なのか、同じテイストで複数本のシリーズなのかも、費用に関わるので書いておきます。
表現方法(実写/アニメーション/その組み合わせ)
実写がいいか、アニメーションがいいか。希望があれば書きますが、決まっていなければ「目的」を伝えて提案を受けるのがおすすめです。実際に撮れる商品や場所があるものは実写が向きますし、目に見えないサービスや仕組みはアニメーションのほうが伝わります。
粕田屋はアニメーションを専門にしている制作会社ですが、商材によっては実写のほうが合うこともあります。「表現方法を決めてから相談する」よりも、「目的と予算を伝えて、どちらが向くかを相談する」ほうが、結果的に良い提案が返ってきます。
実写・アニメーション・組み合わせで、かかる費用の種類がどう変わるかは、動画制作の費用は何で決まるのかで詳しく説明しています。
テイスト・参考動画
「かっちり信頼感のある感じ」「やわらかく親しみやすい感じ」など、雰囲気の希望を書きます。言葉で表しにくいときは、次の見出しで触れる参考動画で示すのが確実です。
予算と納期の書き方|言いにくいところほど先に伝える
オリエンシートで最も書きにくいのが、予算と納期です。しかしこの2つこそ、先に伝えたほうが早く進みます。
予算は「上限」か「レンジ」で
「予算を言うと、その金額いっぱいの見積もりが来るのでは」と心配されがちですが、実際は逆です。予算が分かると、制作会社はその範囲で何ができるかを具体的に提案できます。金額を伏せられると、幅の広い概算しか出せません。
ぴったりの金額が決まっていなくても、「30万円くらいまで」「50万〜100万円のあいだ」のように上限かレンジで伝えれば十分です。粕田屋で公開しているプランを目安にすると、次のような幅になります。
| プラン | 価格 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| ライト | 5万円〜 | 既存素材を使った短期間の告知・社内向け |
| ベーシック | 50万円〜 | オリジナル素材で作る、長く使う紹介・サービス説明 |
| プレミアム | 120万円〜 | 作り込みと確認の往復が多いCM・ブランディング |
また、広告として出す場合は「制作費」と「媒体費(広告の出稿費)」を分けて考えておくと、提案を比較しやすくなります。オリエンシートに書くのは制作費のほうです。
納期は「使う日」から逆算する
「いつまでに必要か」は、使う予定の日(展示会の初日、サービスの公開日、キャンペーンの開始日)で書きます。一般的な30秒の動画で、企画から納品まで1か月半〜2か月が標準的な進み方です。ここに社内確認の時間が加わります。
「できるだけ早く」とだけ書くと、短納期の割増が前提になってしまいます。余裕のあるスケジュールは費用を下げやすいので、本当に必要な日を正直に書くのが得策です。
参考動画の集め方と伝え方|「どこが良いか」を一言添える
言葉で伝えにくいテイストは、参考動画で示すのが一番確実です。ただし、ただURLを並べるだけでは意図が伝わりません。
集めるのは2〜3本で十分です。そして1本ごとに、「どこが良いと思ったのか」を一言添えてください。
- 「この動きのテンポが好き」
- 「この色づかいを参考にしたい」
- 「このナレーションの語り口に近づけたい」
「全体的に良い」はいちばん伝わりません。制作会社は、その動画のどの要素を取り入れればいいのかを知りたいからです。
予算と大きく離れた参考(大手企業のテレビCMなど)を出しても構いません。その場合は「この規模は求めていないが、この見せ方の部分だけ真似したい」と、取り入れたい要素を切り分けて伝えると、現実的な提案につながります。
書かなくていいこと|制作会社に任せたほうがいい範囲
丁寧に準備しようとするあまり、書きすぎて提案の幅を狭めてしまうことがあります。次のものは、最初から細かく決めなくて大丈夫です。
- カット割り・絵コンテの中身
どんな順番でどう見せるかは、目的が決まっていれば制作会社が構成として提案します。最初から固めると、もっと良い見せ方の提案を受けられなくなります。 - 専門用語
「モーショングラフィックスで」「尺は◯フレームで」といった用語は不要です。やりたいこと・困っていることを普通の言葉で書けば、制作側が翻訳します。 - 決まっていない項目
無理に埋めず「未定」「相談したい」と書きます。空欄にするより、「まだ決まっていない」と分かるほうが親切です。
オリエンシートの役割は、答えを全部用意することではありません。「何を実現したいか」と「何が決まっていないか」を共有し、そこから一緒に決めていくための出発点です。
1枚にまとめるテンプレート(記入例)

ここまでの項目を、1枚のシートにするとこうなります。コピーして、自社の案件に置き換えて使ってください。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 目的 | 新しく始めた定額サービスを、まだ知らない層に知ってもらう |
| ターゲット | 自社の課題にまだ気づいていない、30〜40代の事業担当者 |
| 配信先 | YouTube広告(横型)/自社サービスページ |
| 一番伝えたいこと | 「面倒な作業を任せられる」の1点。料金の安さは二番目 |
| 尺・本数 | 30秒 × 1本(反応が良ければ15秒の短縮版も検討) |
| 表現方法 | 未定。無形サービスなので相談したい |
| テイスト・参考 | 参考URL 2本+「このテンポ/この色が好き」の一言 |
| 予算(制作費) | 50万〜80万円で検討中 |
| 使う日・納期 | ◯月◯日のキャンペーン開始に間に合わせたい |
| 使う期間 | 1年以上は使う予定 |
この1枚があれば、初回の相談から現実的な提案と見積もりが返ってきます。
無料ダウンロード
そのまま書き込める「オリエンシート」テンプレート(Googleスプレッドシート)
この記事の項目を1枚にまとめ、書き方のヒントと記入例を横に並べています。コピーして自社の案件に書き換えるだけで、制作会社への依頼書になります。メールアドレスをご入力いただくと、テンプレートのURLをすぐにお送りします。
まとめ
冒頭の「折り返しの質問に答えられない」状況は、裏を返せば最初の1枚が整っていないサインです。先にこの1枚を用意しておけば、同じ質問にすべて答えた状態から相談を始められます。
- まず目的・ターゲット・配信先・一番伝えたいことの4つを埋める
- 尺・本数・表現・参考動画は、希望があれば書き、なければ相談する
- 予算と納期は、言いにくくても先に伝えるほうが早く進む
- カット割りや専門用語は書かなくていい。未定は「未定」と書く
オリエンシートは、制作会社に丸投げするためのものでも、すべてを決めきるためのものでもありません。「実現したいこと」を共有して、そこから一緒に最短の道を決めるための出発点です。
粕田屋では、この1枚が白紙の段階からご相談いただけます。やりたいことを聞いたうえで、「その目的ならこの見せ方・この規模」という目安をお伝えしています。
この記事の監修者
企画から構成、グラフィック・イラスト制作、アニメーション制作、音楽・アフレコディレクションまでアニメ動画コンテンツ制作を一貫して担当可能なマルチクリエイター。
動画制作チームを組織し、幅広いジャンルのコンテンツ制作をディレクションしている。
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