縦型動画広告をアニメーションで作る|TikTok・リール・ショートで最初の2秒に置くもの

\ 企画・シナリオ構成から一貫してお任せ /
アニメーション制作のご相談はこちらスマートフォンでリールやTikTokを流し見しているとき、指が止まって最後まで見てしまった広告と、1秒で親指ではじいて飛ばした広告。この2つの差が、そのまま広告費の効き方の差になっています。
同じ商品を同じ尺で流しても、片方は最後まで見られて片方は最初の1秒で消える。違いは予算の大きさでも出演者の豪華さでもなく、最初の2秒に何を置いたかでほとんど決まります。
この縦の画面は、いま広告費が最も集まっている場所です。サイバーエージェントの調査では、スマートフォンで見る縦型動画広告は前年比155.9%で伸び、スマホ向け動画広告のおよそ3割を占めるまでになりました。急いで出したい、という相談が増えているのもこのためです。
この記事では、縦の画面で広告が「見られるか/飛ばされるか」の分かれ目=最初の2秒の設計と、なぜアニメーションが縦型で指を止めやすいのかを、実際に広告アニメーションを作っている制作会社の立場から説明します。読み終わる頃には、自社の縦型広告を「どんな構成で、何から用意して頼めばいいか」が見えているはずです。
目次
いま広告費は「縦の画面」に集まっている
まず、なぜ縦型なのかを数字で確認しておきます。感覚ではなく、予算が実際に動いているからです。
サイバーエージェントの2025年の調査によると、国内の動画広告市場は8,855億円で、前年から122%に伸びました。さらに2029年には約2倍の1兆6,336億円に達すると予測されています。
その成長を引っぱっているのが縦型です。縦型動画広告は前年比155.9%の2,049億円に達し、スマートフォン向け動画広告のおよそ29%(約3割)を占めるまでになりました。横型が消えたわけではありませんが、予算の伸びしろは明らかに縦に移っているというのが実情です。
出典:サイバーエージェント「2025年国内動画広告の市場調査」
縦が効くのは「スマホの持ち方」に合っているから
理由はシンプルで、スマートフォンは縦に持って使うからです。縦の動画は画面いっぱいに表示され、上下に余白が出ません。横型をそのまま縦の画面に流すと、上下が黒く空いて表示が小さくなり、それだけで目に入る情報量が減ります。
さらに、リールやTikTok、YouTubeショートはスワイプで次々と流れていく場所です。見る側は「見よう」として開いているわけではなく、面白くなければ指一本で飛ばします。ここで戦う広告は、テレビCMやYouTubeの横型広告とは別の作り方が要る——これが出発点になります。
縦の画面では、アニメーションが「指を止めやすい」
ここが、他ではあまり語られない話です。縦型広告は実写でもアニメーションでも作れますが、縦の画面にはアニメーションが向いている理由が3つあります。制作現場で縦型を何本も作ってきて、はっきり感じるところです。
理由① 1つの画面に要素を積める
縦の画面に実写の人物を映すと、画面の多くが人物1人で埋まり、情報が薄くなりがちです。周りに商品・文字・図を置こうとしても、実写では撮り直しや合成の手間がかかります。
アニメーションなら、人物・商品・キャッチコピー・矢印・数字を1つの画面に自由に積める。しかも後から位置や大きさを調整できます。縦の狭い画面で「ひと目で何の広告か」を伝えるのに、この自由度が効きます。
理由② 目に見えないものを見せられる
縦型広告は尺が短く、理屈を説明している時間がありません。仕組み・効果・ビフォーアフターのように、言葉で説明すると長くなるものを、アニメーションなら数秒の動きで見せられます。アプリの中の動き、サービスの流れ、体の中で起きていること——実写では撮れないものこそ、縦の短い尺で差がつきます。
理由③ 音を消して見られても成立する
縦型動画は、電車やオフィスなど音を消したまま見られることがほとんどです。実写は声や環境音に頼る作りになりやすい一方、アニメーションは文字と動きで最初から設計できるので、音がなくても意味が通ります。これは縦型広告では致命的に重要な差です。
もちろん、商品の質感や実在する人の表情が主役なら実写が勝ちます。粕田屋はアニメーション専門なので正直に言いますが、「何を見せたいか」で向き不向きは分かれます。縦の短い尺で仕組みや世界観を伝えたいなら、アニメーションの出番です。
最初の2秒に何を置くか|フック→ボディ→CTAの型

縦型広告の成否は、最初の2秒でほぼ決まります。ここで指を止められなければ、その先の内容はどれだけ作り込んでも見られません。
縦型広告の構成は、媒体や制作会社を問わず「フック→ボディ→CTA」の3つに分けて考えるのが一般的です。CTAは「次にやってほしい行動(購入・アプリの入手・くわしく見る)を促すこと」を指します。
- フック(最初の約2秒)|指を止めさせる。いちばん言いたい結論・意外な一言・動きを最初に出す
- ボディ(中盤)|なぜそうなのか、どう使うのかを見せる。ここが本題
- CTA(最後の数秒)|「今すぐ」「くわしくは」で行動に誘導する
秒数の配分は、一般的にフックが全体の1〜2割・ボディが6割前後・CTAが2〜3割が目安とされています。尺別に目安を並べると次のようになります。
| 尺 | フック | ボディ | CTA |
|---|---|---|---|
| 15秒 | 約2秒 | 約9秒 | 約4秒 |
| 30秒 | 2〜3秒 | 約20秒 | 約7秒 |
ここで縦型ならではの注意が2つあります。
1つは、フックで「音」に頼らないこと。冒頭に効果音やナレーションで引く作りは、音を消して見る縦型では空振りします。動きと大きな文字で、無音でも一瞬で伝わるフックにするのが鉄則です。
もう1つは、ロゴや商品名を最初に出しすぎないこと。広告だと分かった瞬間に飛ばされるので、冒頭は「自分ごと」に感じる一言から入り、商品名は見てもらえる流れを作ってから出します。アニメーションはこの「結論を動きで先に見せる」フックを作りやすいのが強みです。
縦型ならではの構成の型|字幕ファースト・セーフゾーン

縦型広告には、横型にはない「画面の使い方」のルールがあります。ここを外すと、せっかくの内容がUIボタンや指に隠れて読めないことになります。
字幕を先に設計する(字幕ファースト)
音を消して見られる前提なので、ナレーションの内容は必ず字幕にも載せます。しかも後付けではなく、字幕を主役として先に設計するのが縦型の作り方です。字幕だけ追えば意味が分かる状態にしてから、声やBGMを足します。
画面の上下は「空ける」(セーフゾーン)
リールやTikTokの画面は、下にキャプションやボタン、右にいいね・シェアのアイコンが重なります。ここに大事な文字や商品を置くと隠れます。大事な要素は画面の中央あたり(上下は少し空ける)に置くのが基本です。下の図のゾーニングを目安にしてください。
縦の空間を使って視線を上下に動かす
横型は視線が左右に動きますが、縦型は上下です。上から下へ要素が流れ込む、下から数字がせり上がる、といった縦方向の動きはアニメーションと相性が良く、スワイプの手を止める効果があります。横型の素材をそのまま縦にトリミングすると、この縦の動きが死んでしまうので、縦型は縦のために作り直すのが前提です。
媒体ごとの違い|TikTok・リール・YouTubeショート
「縦型動画広告」とひとくくりにされますが、出す場所によって見られ方も最適な尺も違います。縦の比率(9:16・解像度1080×1920ピクセル)は共通ですが、尺の上限や雰囲気が異なります。
| 媒体 | 尺の上限(目安) | 見られ方・向く内容 |
|---|---|---|
| TikTok | 最大10分(アプリ内撮影の上限。広告は短尺が中心) | 勢い・テンポ重視。広告くささを抑えた作りが好まれる |
| Instagram リール | 最大3分(3分を超えると新規ユーザーへのおすすめ表示の対象外になりやすい) | 世界観・ブランドの雰囲気づくりに向く |
| YouTube ショート | 最大3分 | 検索やチャンネルからの流入もある。説明性のある内容も見られる |
※ 尺や仕様は各媒体の公式仕様で、改定されることがあります。出稿前に出稿先の最新仕様を確認してください。
仕様は変わりやすいので、ここで押さえてほしいのは数字そのものより「同じ1本を全媒体に使い回さない」という考え方です。
たとえば同じ素材でも、TikTok向けはテンポを速く・広告色を薄く、リール向けは世界観を見せる尺に、ショート向けは最初の一言を説明寄りに——という作り分けで反応が変わります。アニメーションは、一度キャラクターと素材を作っておけば、この媒体ごとの作り分けを低コストで回せるのが利点です。実写のように撮り直しが要りません。
アニメで縦型広告を作る段取り|発注側が詰まりやすい所

ここからは制作の現場の話です。縦型広告をアニメーションで頼むとき、工程のどこで発注側が詰まりやすいかを、順番に沿って説明します。流れは次の図のようになります。
①企画・②構成(絵コンテ)|ここで勝負が決まる
「どんな人に・何を・最初の2秒で何を見せるか」を決める段階です。縦型は作り直しが効きにくい尺なので、ここで固めきるのが大事です。発注側がここで詰まるのは、「言いたいことが多すぎて絞れない」とき。縦の短い尺に入るメッセージは基本1つです。欲張ると全部が薄くなります。
③キャラクター・素材づくり
キャラクターや背景、商品のイラストを用意します。ここで発注側が詰まるのは「どこまで自分で素材を出すか」。ロゴ、商品写真、言いたいこと(原稿)、参考にしたい広告——これらが早く揃うほど、制作はスムーズに進みます。
④アニメ化・⑤字幕と音
素材を動かし、字幕と音を載せます。縦型は前述のとおり字幕ファースト。ここは制作側の作業が中心です。
⑥媒体別の書き出し
TikTok用・リール用・ショート用に、尺や冒頭を作り分けて書き出します。最初から「何媒体に出すか」を伝えておくと、この工程がまとめて設計できて無駄がありません。
外注したときの見積もり・工程・期間の具体的な流れは、別記事でくわしく書いています。あわせてご覧ください。
縦型広告の「見せ方の型」3つ
事例をそのまま真似ても当たりませんが、よく使われる見せ方の型を知っておくと、自社の商材に合う方向を選びやすくなります。縦型のアニメーション広告でよく使う型は、大きく3つです。
- 結論先出し型|冒頭で結果・変化・数字を見せてから理由を説明する。フックが強く、効果や仕組みを売る商材に向く
- あるある共感型|「こんなことありませんか」という日常の困りごとから入り、解決へつなげる。自分ごと化しやすく、幅広い商材に使える
- 実演・ビフォーアフター型|使う前と後、仕組みの中身を動きで見せる。アニメーションがいちばん得意な型
どの型でも共通するのは、最初の2秒で「この先を見る理由」を提示していることです。逆に、企業ロゴやきれいな風景から始まる広告は、縦型ではほぼ飛ばされます。
また、縦型は1本で完結させず、同じ型のバリエーションを複数本つくって反応を比べるのが前提です。この「作り分け」の考え方を次で説明します。
1本納品でなく「作り分け」で頼む
縦型広告の発注でいちばん損しやすいのが、「渾身の1本」だけを作ってもらうことです。縦型広告は、どのフックが当たるか出してみないと分かりません。だから最初から複数パターンを前提に設計するのが、運用で成果を出している発注のやり方です。
当たりは「出してから」分かる
同じ商品でも、「困りごとから入る版」「結論から入る版」「数字から入る版」で、指を止める率はまったく変わります。フックだけ差し替えた数本を出して、伸びたものに予算を寄せるのが基本の流れです。
アニメは差し替えが安い
ここでもアニメーションが効きます。キャラクターと素材を一度作っておけば、冒頭の数秒・字幕・尺だけを差し替えた別バージョンを、実写の撮り直しよりはるかに安く作れます。1本ずつ発注するのではなく、「土台を1回作って、フックを何通りか作り分ける」という頼み方をすると、本数あたりの単価も下がります。
発注時に「テストで何パターン出したい」「反応を見て差し替えたい」と最初に伝えておくと、制作会社は素材を使い回せる設計で組みます。1本完結の設計で作ってしまうと、後から差し替えるときに作り直しになり、かえって高くつきます。
費用はどう決まるか|尺ではなく「何をゼロから作るか」
縦型広告の費用も、尺や本数では決まりません。決めているのは「何をゼロから作るか」です。縦型だからといって横型より安い・高いということはなく、作る中身で変わります。
金額を動かす主な要因
- 素材をゼロから作るか|キャラクター・背景・商品のイラストを新しく起こすか、あるものを使うか。ここの影響がいちばん大きい
- キャラクターを作るか|登場人物を設計すると、その後のバリエーションで使い回せる資産になる一方、最初の設計に手間がかかる
- 作り分けの本数|媒体別・フック別に何本書き出すか
- 字幕・音の作り込み|縦型は字幕作業が必ず入る。多言語やナレーションを足すと増える
粕田屋の公開プランで言えば、ライト(5万円〜)はあるものを使って整える構成、ベーシック(50万円〜)はその広告のために素材を起こす構成、プレミアム(120万円〜)はキャラクター設計から作り込み、確認の往復も回数を気にせず進める構成、という分かれ方です。縦型の「作り分け前提」は、土台を一度作るベーシック以上と相性が良いことが多いです。
なお、イラストやアニメーションを外部に頼むときの外注単価の相場感は、イラスト1点・アニメーション1本といった単位で一般的に幅があります。見積書のどの項目にいくら乗っているかは、素材をゼロから作る量と作り込みの深さで変わると考えると読み解きやすくなります。
よくある質問
Q. 横型で作ったCMを縦型に変えるだけでもいいですか?
A. トリミングだけはおすすめしません。横型は視線が左右に動く設計で、そのまま縦に切ると大事な要素が切れたり、縦の動きが死んだりします。縦型は縦のために作り直すのが前提です。ただし、素材(キャラクター・イラスト)は使い回せるので、横型をすでに作っている場合は素材を活かして縦型を組み直せます。
Q. 尺は何秒がいいですか?
A. 媒体と目的によりますが、まず最初の2秒で指を止めることが最優先です。そのうえで15〜30秒前後から試すことが多いです。長ければ良いわけではなく、言いたいことが伝わる最短を狙います。
Q. ナレーションや声は必要ですか?
A. 必須ではありません。縦型は音を消して見られることが多いため、字幕だけで意味が通る状態を先に作ります。そのうえで、合う場合にナレーションやBGMを足します。音がないと成立しない作りは縦型では避けます。
Q. 1本だけ頼むことはできますか?
A. できますが、縦型広告は複数パターンを出して反応を比べるのが成果の出る使い方です。1本だけより、フックを作り分けた数本を前提に相談いただくほうが、結果的に費用対効果は上がりやすいです。
Q. どの媒体に出すか決まっていなくても頼めますか?
A. 頼めますが、出す候補の媒体だけでも先に伝えてください。媒体ごとに尺や冒頭の作り方が変わるため、最初に分かっていると作り分けをまとめて設計でき、無駄がありません。
Q. 実写とアニメ、どちらがいいですか?
A. 見せたいものによります。実在する人の表情や商品の質感が主役なら実写、仕組み・効果・ビフォーアフターなど目に見えないものを短い尺で伝えたいならアニメーションが向きます。粕田屋はアニメーション専門なので、商材によっては実写をおすすめすることもあります。
まとめ
縦型動画広告で「見られるか/飛ばされるか」を決めているのは、予算の大きさではなく最初の2秒の設計です。整理するとこうなります。
- いま広告費は縦の画面に集まっている(縦型は前年比155.9%・スマホ動画広告の約3割)
- 縦の画面はアニメーションが指を止めやすい(1画面に積める・見えないものを見せられる・音なしで成立する)
- 最初の2秒に結論を置く(フック→ボディ→CTA。音に頼らず動きと文字で)
- 縦のために作り直す(字幕ファースト・セーフゾーン・媒体別の作り分け)
- 1本納品でなく作り分けで頼む(フックを数本出して伸びたものに寄せる)
- 費用は尺でなく「何をゼロから作るか」で決まる
冒頭に書いた「指が止まる広告と、飛ばされる広告」の差は、ここまで読めば、偶然ではなく設計の差だと分かるはずです。
粕田屋では、縦型広告を企画・構成の段階からご相談いただけます。どの媒体に出したいか、何を見せたいかを聞いたうえで、「その内容ならこの構成・この作り分けで」という具体的な進め方をお伝えします。まだ出す媒体が決まっていない段階でも、やりたいことからご相談ください。
この記事の監修者
企画から構成、グラフィック・イラスト制作、アニメーション制作、音楽・アフレコディレクションまでアニメ動画コンテンツ制作を一貫して担当可能なマルチクリエイター。
動画制作チームを組織し、幅広いジャンルのコンテンツ制作をディレクションしている。
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