WEB CM・広告動画の企画の「型」7選|向いている商材と選び方

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WEB CM・広告動画の企画の「型」7選|向いている商材と選び方

動画広告の予算がようやく通った。制作会社との最初の打ち合わせで、担当者から聞かれます。 「どんな動画にしましょうか?」 分かりやすく、印象に残るように。そう答えたものの、それが答えになっていないことは自分でも分かっている […]

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動画広告の予算がようやく通った。制作会社との最初の打ち合わせで、担当者から聞かれます。

「どんな動画にしましょうか?」

分かりやすく、印象に残るように。そう答えたものの、それが答えになっていないことは自分でも分かっている。数日後に届いた企画案が3つ並んでいても、どれが自社に合っているのか判断する物差しがない。発注側の担当者が最初につまずくのは、たいていこの場面です。

動画広告に使われるお金は、この数年で大きく伸びています。サイバーエージェントの調査によると、2025年の国内動画広告市場は8,855億円で、前年の122.2%に伸びています。2029年には1兆6,336億円に達するという予測です。流れる広告動画が増えるほど、ありきたりな動画は見てもらいにくくなります。

とはいえ、刺さる企画はひらめきだけで生まれているわけではありません。広告動画の見せ方には、繰り返し使われてきた「型」があります。この記事では、よく使われる7つの型を、向いている商材・目的と、使うときの注意点つきで紹介します。

最後には、商材と目的から型を選ぶ早見表と、発注前に決めておくことも置きました。読み終わる頃には、届いた企画案を「好き嫌い」ではなく「自社の目的に合っているか」で比べられるようになっているはずです。

企画は「型」の組み合わせでできている

広告動画の企画は、何を言うか(1つのメッセージ)とどう見せるか(型)の2つの要素でできている。よく使われる7つの型は、あるあるドラマ型・擬人化型・番組や形式を借りる型・ビフォーアフター型・時事や季節につなぐ型・比喩に置き換える型・弱みを先に言う正直型

本題に入る前に、ひとつだけ前提をそろえておきます。広告動画の企画は、大きく分けると2つの要素でできています。

  1. 何を言うか — 見る人に持ち帰ってほしい、たった1つのメッセージ
  2. どう見せるか — そのメッセージに、どんな入り口・どんな設定で触れてもらうか

この記事で扱う「型」は、2つ目のどう見せるかのほうです。言うことが同じでも、ドラマ仕立てにするか、キャラクターに語らせるか、比較で見せるかで、伝わり方も、届く相手も変わります。

型は1本に1つとは限りません。実際の企画では、「季節の行事を舞台に、見えない価値を身近なものに例えて見せる」のように、2つ以上を組み合わせることがよくあります。まずは1つずつ見ていきましょう。

型① あるあるドラマ型|「これ、自分のことだ」から入る

オフィスの会議で、社員たちが顔を見合わせて意見を言い出せずにいるアニメーションのワンシーン
粕田屋の制作事例より:三共食品株式会社 周年記念ブランディングムービー

見る人が日常で感じている小さな困りごとを、短いドラマとして再現する型です。広告だと気づく前に「分かる」と思わせるのが狙いです。

たとえば(架空の例)

取引先との会議で英語の質問に固まり、愛想笑いでやり過ごした帰り道。ため息をついたところで、オンライン英会話の画面に切り替わる。

向いている商材・目的

  • 日用品・生活サービス・学習サービスなど、困りごとがはっきりしている商材
  • まだ商品を知らない人に、自分ごととして気づいてもらいたいとき

気をつけること

  • 「あるある」の解像度が命です。ターゲットの暮らしを知らずに作ると、「こんな人いる?」と一気に冷めます
  • 困りごとを大げさにしすぎると、見る人を責めている印象になることがあります

型② 擬人化型|商品やサービスを「キャラクター」にする

ペンケースの中で、顔と手足のあるペンたちが並び、青いボールペンBP-Sが膝を抱えて座っているアニメーションのワンシーン
粕田屋の制作事例より:PILOT BP-S 50周年記念アニメーション

商品そのもの、あるいは商品が解決する悩みをキャラクターにして語らせる型です。アニメーションと特に相性がよく、形のないものにも顔と性格を与えられます。

たとえば(架空の例)

肩こりが「重たい岩のキャラクター」として肩に乗っていて、マッサージ機が登場すると、しぶしぶ転がり落ちていく。

向いている商材・目的

  • 目に見えない商材(保険・ソフトウェア・金融など)や、中身で差がつきにくい商品
  • 好感度を上げたい・名前を覚えてもらいたいとき。キャラクターはシリーズ化もしやすい

気をつけること

  • キャラクターが目立ちすぎて、商品名が記憶に残らないことがあります。キャラクターと商品名を必ずセットで見せる
  • 既存の人気キャラクターに似ていないか、デザインの段階で確認が必要です

型③ 番組・形式を借りる型|誰もが知っている「お約束」に乗せる

少女漫画のタッチで、バラを背景にエアコンを掃除する男性スタッフを描いたアニメーションCMのワンシーン
粕田屋の制作事例より:イオンのカジタク WEB CM 少女漫画篇

ニュース番組、面接、料理番組、漫画、通販番組など、見る人がすでに知っている形式を借りて、その中で商品を語る型です。形式の「お約束」を知っているので、説明しなくても状況がすぐ伝わります。

たとえば(架空の例)

ニュース番組の体裁で、キャスターが真顔で「速報です。今朝、〇〇さんの家の冷蔵庫が片付きました」と読み上げる。

向いている商材・目的

  • 説明が多くなりがちなサービスを、テンポよく見せたいとき
  • 広告っぽさを薄めたいとき。「知っている形式」として見てもらえるので、身構えられにくい

気をつけること

  • 借りる形式はターゲットの世代が知っているものに。若い層に昔の番組の形式を借りても伝わりにくくなります
  • 実在の番組名やロゴ、特定の作品の絵柄に寄せすぎると権利の問題になります。借りるのは「形式」までにとどめます

型④ ビフォーアフター型|使う前と後を並べる

画面の左に今の若い夫婦、右に未来の自分たち、中央にスマートフォンの画面を並べたアニメーションのワンシーン
粕田屋の制作事例より:あんしん生命「AIマッチング」サービス紹介アニメーション

使う前の状態と使った後の状態を並べて、変化そのものを見せる型です。最もシンプルで、効果が伝わりやすい見せ方です。

たとえば(架空の例)

画面の左に、書類が山積みの机で残業する担当者。右に、同じ作業をツールで終えて定時に帰る担当者。同じ時計の針が、左右で違う時刻を指している。

向いている商材・目的

  • 変化が目に見える商材(掃除・収納・業務効率化ツールなど)
  • 比較検討中の人に、導入後の姿を想像してもらいたいとき

気をつけること

  • 健康食品や化粧品のように、効果の表現に法律上の決まりがある商材では、使えない言い方があります。企画の段階で表現の可否を確認しておきます
  • 変化を盛りすぎると、かえって信じてもらえません。「ちょっと楽になる」くらいの現実的な差のほうが刺さることもあります

型⑤ 時事・季節につなぐ型|「今この時期に見る理由」をつくる

「いよいよ始まる大阪・関西万博」の文字と、いのちと書かれた赤いハートが重なるモーショングラフィックスのワンシーン
粕田屋の制作事例より:大和アセットマネジメント「ブライトライフ」TV CM

季節の行事や、世の中で話題になっていることに商品をつなげて、「なぜ今この話なのか」という理由を持たせる型です。

たとえば(架空の例)

新生活の春。引っ越したばかりの部屋で段ボールに囲まれた主人公が、スマートフォン1つで必要な手続きを済ませていく。

向いている商材・目的

  • 季節で需要が動く商材(新生活・年末年始・夏のレジャーなど)
  • 抽象的で伝えにくい商材に、身近な意味を持たせたいとき

気をつけること

  • 時期を過ぎると使えなくなります。配信期間と制作スケジュールを逆算して、公開日に間に合うかを先に確かめます
  • 話題に乗る場合は、災害や事件など不謹慎になりうる話題は避ける。社会の空気が変わったときに差し替えられる余地も残しておきます

型⑥ 比喩に置き換える型|見えないものを「形と動き」で見せる

中央のMAJOR FLOWのピースに、電子契約・文書管理・データベースなどのパズルのピースがはまっているアニメーションのワンシーン
粕田屋の制作事例より:MAJOR FLOW サービス紹介アニメーション

仕組みや価値を、別の分かりやすいものに例えて見せる型です。「セキュリティ=家の鍵」「つながり=糸」のように、目に見えないものを図形や動きに翻訳します。

たとえば(架空の例)

データを守るクラウドサービスを、小さな家を包み込む大きな傘として描く。雨粒(外からの攻撃)が傘に当たって弾かれていく。

向いている商材・目的

  • 形のない商材(金融・IT・保険・社会貢献の取り組みなど)
  • 企業の姿勢や理念を伝えるブランディング動画

気をつけること

  • 比喩がひねりすぎていると、何の広告か分からないまま終わります。最後に商品名と「何をしてくれるものか」を一言で添える
  • 例えが古い・専門的すぎると伝わりません。ターゲットが日常で見ているものから選びます

型⑦ 弱みを先に言う正直型|期待させすぎないことで信じてもらう

擬人化したサプリメント「すっぽん小町」が面接官に「すぐのご実感はお約束できません!」と正直に答えているアニメーションのワンシーン
粕田屋の制作事例より:すっぽん小町 ブランディングアニメーション「すっぽん小町の自己紹介」

商品の弱みや前提条件を、あえて自分から先に言ってしまう型です。「すぐには効きません」「万人向けではありません」と正直に伝えることで、残りの主張を信じてもらいやすくします。

たとえば(架空の例)

作り置き食材の宅配サービスが、「正直、手作りの味には負けます。でも、平日の夜に30分あいたら、あなたは何をしますか?」と問いかける。

向いている商材・目的

  • 効果をうたいにくい商材や、「うまい話」と疑われやすいサービス
  • 価格が高めで、検討期間が長い人に信頼してもらいたいとき

気をつけること

  • 弱みを言いっぱなしにしないこと。弱みの直後に「それでも選ぶ理由」をはっきり置きます
  • トーンが暗くなりやすいので、キャラクターの明るさや、最後の一言の軽さで見終わった後の印象を整えます

ここまでの7つは、アニメーションでも実写でも使える型です。粕田屋でも、ここで紹介した型を商材に合わせて組み合わせてCMを企画しています。アニメーションの場合は、擬人化や比喩のように「現実には撮れないもの」を描けるぶん、選べる型の幅が広がります。

型の選び方|商材×ターゲット×目的で絞り込む

7つの型のどれを選ぶかは、センスよりも3つの条件で決まります。

  1. 商材 — 形があるか、ないか。変化が目に見えるか
  2. ターゲット — その商品をもう知っているか、まだ知らないか
  3. 目的 — 知ってもらう、好きになってもらう、申し込んでもらう、のどれか

この3つを当てはめると、候補はかなり絞れます。目安として早見表にまとめました。

型は商材(形があるか、変化が見えるか)、ターゲット(知っているか)、目的(知ってもらう・好きになってもらう・申し込んでもらう)の3つの条件で絞り込む
状況合いやすい型
困りごとがはっきりした生活系の商材を、まだ知らない人に届けたい① あるあるドラマ型/④ ビフォーアフター型
形のない商材(金融・IT・保険など)を分かってもらいたい② 擬人化型/⑥ 比喩に置き換える型
名前を覚えてもらいたい・好感度を上げたい② 擬人化型/③ 番組・形式を借りる型
検討中の人に、比べたうえで選んでもらいたい④ ビフォーアフター型/⑦ 正直型
季節や時期で需要が動く⑤ 時事・季節につなぐ型
「うまい話」と疑われやすい・効果をうたいにくい⑦ 正直型

表はあくまで出発点です。実際には1本に2つの型を組み合わせることで、ありきたりな印象を避けることができます。たとえば「あるあるドラマで困りごとを見せてから、ビフォーアフターで変化を並べる」のような組み合わせです。

企画案を比べるときは、「その型を選んだ理由を、商材・ターゲット・目的の言葉で説明できているか」を見てください。理由まで説明できる企画は、撮る前・描く前から筋が通っています。

発注前に決めておくと、企画が早く固まる4つのこと

型を選ぶ材料は、発注側からしか出せないものがほとんどです。初回の相談までに、次の4つを言葉にしておくと、1回目の提案から的を外しにくくなります。

  1. いちばん見てほしい相手は誰か
    「20〜40代の女性」より、「保育園の送り迎えに追われている30代の共働きの母親」のほうが、選べる型がはっきりします
  2. 見た人に、何を1つだけ持ち帰ってほしいか
    伝えたいことを詰め込むほど、何も残らなくなります。優先順位の1位だけを決めておきます
  3. 見た後に、どう動いてほしいか
    検索してほしいのか、申し込んでほしいのか、名前を覚えてほしいのか。ゴールが違えば、合う型も変わります
  4. 言えないこと・避けたいこと
    業界の決まりで使えない表現、競合との関係で触れたくない話題、社内で通りにくいトーン。先に分かっていれば、企画の段階で外せます

「どんな動画にしましょうか?」と聞かれて答えに詰まっても、この4つが言えれば十分です。型を選ぶのは制作側の仕事で、その材料を渡すのが発注側の仕事だと考えると、打ち合わせはぐっと進めやすくなります。

まとめ

広告動画の企画は、ひらめきだけで決まるものではありません。よく使われる7つの型を振り返ります。

  1. あるあるドラマ型 — 困りごとの再現で「自分のことだ」と思わせる
  2. 擬人化型 — 商品や悩みをキャラクターにする
  3. 番組・形式を借りる型 — 誰もが知っているお約束に乗せる
  4. ビフォーアフター型 — 使う前と後を並べる
  5. 時事・季節につなぐ型 — 「今見る理由」をつくる
  6. 比喩に置き換える型 — 見えないものを形と動きで見せる
  7. 正直型 — 弱みを先に言って信じてもらう

どの型が正解かは、商材・ターゲット・目的の3つで決まります。企画案を受け取ったら、「なぜこの型なのか」を制作会社に聞いてみてください。その答えが、企画の良し悪しを見分けるいちばんの手がかりになります。

粕田屋では、この企画の段階からご相談いただけます。「どんな動画にするか」がまだ決まっていなくても、「誰に、何を伝えたいか」さえお聞かせいただければ、そこから一緒に型を選び、企画を立てます。

この記事の監修者

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株式会社粕田屋代表 粕田辰哉

企画から構成、グラフィック・イラスト制作、アニメーション制作、音楽・アフレコディレクションまでアニメ動画コンテンツ制作を一貫して担当可能なマルチクリエイター。

動画制作チームを組織し、幅広いジャンルのコンテンツ制作をディレクションしている。

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