動画広告の費用対効果をどう測るか|制作会社が見ている指標

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動画広告の費用対効果をどう測るか|制作会社が見ている指標

動画広告を出したあと、代理店から届くレポートに並ぶのは、再生回数と表示回数。数字そのものは大きいのに、いざ「それで売上は増えたのか」と社内で聞かれると、答えに詰まる。 この状況に心当たりがある担当者は多いはずです。再生回 […]

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動画広告を出したあと、代理店から届くレポートに並ぶのは、再生回数と表示回数。数字そのものは大きいのに、いざ「それで売上は増えたのか」と社内で聞かれると、答えに詰まる。

この状況に心当たりがある担当者は多いはずです。再生回数は動いているのに、費用対効果を説明できない。これは、レポートが悪いのではありません。何を成果とするかを、出稿の前に決めていないことが原因です。

動画広告の市場は、いま急速に伸びています。サイバーエージェントの調査によると、2025年の国内動画広告市場は8,855億円で、前年から122%に成長しました。予算が集まる場所であるほど、「かけた費用が何を生んだのか」を測る力が問われます。

出典:サイバーエージェント「2025年国内動画広告の市場調査」

この記事では、広告の制作と運用を両方手がける立場から、制作会社が実際に見ている指標を、目的別に整理します。読み終わる頃には、自社の動画広告のレポートのどこを見れば費用対効果が判断できるのかが分かるようになっているはずです。

なぜ「再生回数」だけでは判断できないのか

結論から言うと、再生回数は「どれだけ見られたか」しか表さないからです。見られたことと、成果が出たことは別の話です。

たとえば10万回再生された動画広告が2本あったとします。片方は最後まで見られて問い合わせにつながり、もう片方は最初の2秒で大半が離脱していた。再生回数だけを見ていると、この2本は同じ「成功」に見えてしまいます。

費用対効果を語るには、「見られた」の先にある段階を測る必要があります。そして、どの段階を測るべきかは、その広告の目的によって変わります。次から、その順番で見ていきます。

指標は「広告の目的」から決まる|3つの段階

動画広告の目的は、大きく3つの段階に分かれます。どの段階を狙うかで、追うべき指標が変わります。

  1. 認知(知ってもらう) — まだ自社を知らない人に届ける段階。新商品の告知やブランドの立ち上げ。
  2. 比較検討(興味を持ってもらう) — 名前は知っている人に、もっと詳しく調べてもらう段階。サービスの理解を深める。
  3. 行動(動いてもらう) — 購入・問い合わせ・資料請求など、実際のアクションを促す段階。
動画広告の目的は3段階。認知ではリーチ・フリークエンシー・視聴完了率・平均視聴時間、比較検討ではクリック率・サイトへの遷移と滞在時間・指名検索の増加、行動ではコンバージョン数・顧客獲得単価・費用対効果を見る

ここでよくあるのが、認知が目的の広告なのに、売上(行動)の指標で評価してしまうケースです。まだ商品を知らない人に届ける広告に、いきなり「何件売れたか」を求めると、当然「効果がなかった」という結論になります。目的と指標がずれていると、正しく作られた広告でも失敗と判定されてしまいます。

まず「この広告は3段階のどこを狙うのか」を決める。費用対効果の測定は、ここから始まります。

段階① 認知を測る指標|「見られ方の質」を見る

認知が目的なら、まずどれだけの人に、どこまで届いたかを見ます。ここで再生回数だけでなく、次の指標を合わせて見るのが制作会社の視点です。

リーチとフリークエンシー

リーチは「何人に届いたか」、フリークエンシーは「1人が平均何回見たか」です。再生回数が多くても、同じ人が何度も見ているだけなら、新しく知ってもらえた人は少ない、ということが起こります。

視聴完了率・平均視聴時間

動画広告ならではの指標がこれです。最後まで見られたか、途中で離脱したか。ここが「見られ方の質」を表します。

制作の現場で特に重視するのが、冒頭でどれだけ離脱したかです。多くの動画広告は、最初の数秒で見るか見ないかが決まります。冒頭で大きく離脱している場合、伝えたいことが後半にあっても、そこまで届いていません。この場合は広告の出し方ではなく、動画の構成そのものを見直すサインです。

段階② 比較検討を測る指標|「次の一歩」を見る

名前を知ってもらった次は、もっと知りたいと思ってもらえたかを測ります。ここで見るのは、動画を見た人が次の行動に移ったかどうかです。

  • クリック率(CTR) — 動画から、リンク先(サイトや商品ページ)へどれだけ進んだか
  • サイトへの遷移数・滞在時間 — 動画を見た人が実際にサイトに来て、どれだけ読んだか
  • 指名検索の増加 — 広告を見た後に、社名や商品名で検索した人が増えたか

特に見落とされがちなのが指名検索です。動画広告を見て興味を持った人は、その場でクリックせず、後から自分で検索することがあります。広告の配信期間に、社名・商品名での検索がどう動いたかを見ると、直接クリックされなかった効果まで拾えます。

段階③ 行動を測る指標|「かけた費用が生んだもの」を見る

購入や問い合わせが目的なら、最終的に見るのは1件の成果にいくらかかったかです。ここが費用対効果の中心になります。

  • コンバージョン数(CV) — 購入・問い合わせ・資料請求など、目標としたアクションの件数
  • 顧客獲得単価(CPA) — 1件の成果を得るのにかかった広告費(広告費 ÷ 成果件数)
  • 費用対効果(ROAS) — かけた広告費に対して、どれだけの売上が返ってきたか

ここで大事なのは、成果を「何をもって1件と数えるか」を、出稿の前に決めておくことです。購入を成果とするのか、問い合わせや資料請求までを含めるのか。ここが曖昧なままだと、後からレポートを見ても費用対効果を計算できません。

そして、動画広告はその場ですぐ売れる広告ばかりではありません。認知が目的の広告に、いきなりCPAを求めない。段階に合った指標を選ぶ——これが繰り返しになりますが、いちばんの土台です。

「再生されているのに成果が出ない」ときに疑う3つのこと

数字は動いているのに成果につながらない。そんなときに、制作側が最初に疑うのは次の3つです。

  1. 冒頭で離脱している
    再生は始まっているが、伝えたいことが出る前に見るのをやめられている。視聴完了率が低ければ、まずここを疑います。構成の見直しで改善できることが多い場所です。
  2. 届いている相手がずれている
    再生数は多いが、そもそも商品を必要としない層に届いている。この場合は動画ではなく、配信の設定(ターゲティング)の問題です。
  3. 動画の後の導線が切れている
    動画は良かったのに、リンク先のページが分かりにくい、次に何をすればいいか示されていない。動画単体ではなく、見た後の流れまで含めて設計する必要があります。
再生されているのに成果が出ないときに疑う3つ。冒頭で離脱しているなら動画の構成、届いている相手がずれているなら配信の設定、動画の後の導線が切れているならサイトや導線を直す

この3つは、それぞれ直す場所が違います。①は動画の構成、②は配信の設定、③はサイトや導線。どこを直せばいいかを切り分けるために、段階ごとの指標を見ているわけです。

制作と運用を分けないと、指標が改善につながらない

ここまで見てきた指標は、測って終わりでは意味がありません。次の動画に反映して初めて費用対効果が上がります。

ところが、動画を作る会社と、広告を運用する会社が別々だと、この反映が止まりがちです。「冒頭で離脱している」という運用側のデータが、制作側に届かない。届いても、なぜそうなったのかを一緒に考える相手がいない。

粕田屋では、広告の制作と運用の両方を自社で見ています。だから「この指標が悪かったから、次はこう作り替える」という往復を、間に伝言を挟まずに回せます。指標は、作り手に戻ってきて初めて武器になります。

出稿の前に決めておくと、後で説明できる3つのこと

費用対効果を後から説明できるかどうかは、出す前の準備でほぼ決まります。最低限、次の3つを決めてから出稿してください。

  1. この広告は3段階のどこを狙うのか — 認知か、比較検討か、行動か
  2. 何をもって成果とするのか — 再生完了か、クリックか、問い合わせか、購入か
  3. どうやって測るのか — 成果を計測する仕組み(計測タグ・専用ページ・問い合わせ経路の記録など)を先に用意する

特に3番目は、出した後では取り返しがつきません。測る仕組みがないまま出稿すると、どれだけ良い広告でも「効果は分からなかった」で終わります。ここだけは、必ず出稿の前に用意してください。

まとめ

動画広告の費用対効果を測るときに、制作会社が見ているのは次の順番です。

  1. 広告の目的を3段階(認知・比較検討・行動)のどこに置くかを決める
  2. 認知なら、リーチ・視聴完了率・平均視聴時間で「見られ方の質」を見る
  3. 比較検討なら、クリック率・サイト遷移・指名検索で「次の一歩」を見る
  4. 行動なら、コンバージョン・CPA・ROASで「費用が生んだもの」を見る
  5. 成果が出ないときは、構成・配信・導線のどこが原因かを指標で切り分ける

再生回数はスタート地点にすぎません。目的に合った指標を選び、その結果を次の制作に返す。これができると、冒頭の「再生は伸びているのに成果を説明できない」という状態から抜け出せます。

粕田屋では、動画の制作だけでなく、出した後の運用と改善までご相談いただけます。「何を成果とすればいいか」が決まっていない段階からでも、目的を一緒に整理するところから始められます。

この記事の監修者

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株式会社粕田屋代表 粕田辰哉

企画から構成、グラフィック・イラスト制作、アニメーション制作、音楽・アフレコディレクションまでアニメ動画コンテンツ制作を一貫して担当可能なマルチクリエイター。

動画制作チームを組織し、幅広いジャンルのコンテンツ制作をディレクションしている。

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